4.総合討論(5)
前川
諏訪先生、ありがとうございました。それから私への質問で「グレーゾーンとは何か」というのがありました。私のレジュメにも出ていますが、関り方の程度で、希薄な人と、強過ぎる人の程度がグレイゾーン、レッドゾーンでひどくなるほど子どもの心は育たなくなるということです。
諏訪
私にも「親が自分で過剰・希薄なかかわり方に気がつく方法を知る方法は何ですか」という質問があります。
一般的な話でいけば、過剰にかかわれば、子どもは嫌がります。子どもを見ていれば分かるのではないかなと思います。ネグレクトは、逆にかかわらないわけですから、「ママ、ママ、ママ、ママ」ってへばりついてきますね。「甘えることは自立への道」と前川先生もおっしゃいましたけど、子どもは基本的には大人が自分を受け入れ接してくれることを求めているわけです。しかしそこで満たされると、そんな抱っこばかりされているのは窮屈ですから自ら離れますよね。そしておもしろそうなものがあったら、絶対に子どもはそちらに行きますね。
ですから、そういう子どもの動きとか表情とかで見ていくしかないと思いますね。実際に「過剰・希薄」をはかるリトマス試験紙はないので…。それがあれば楽ですけれど。
前川
もう一つ「ここに生みの親と育ての親と、それから里親なんかで愛着形成が違いますかという」というご質問にお答えします。これは、亡くなられた庄司順一先生がいろいろな問題がある子を自分の子と一緒に育てているのです。ですから、生みの親、育ての親じゃなくて、いかにその子に愛情を持って育てようとしているかだけです。生みの親だから何だ、ほかの親の子だから何だって、そんな考えで子どもを育てていたら絶対に子どもの心は育ちません、それは子どもに対する愛情です。
皆様、これをもちまして本日のシンポジウムを全て終了させていただきます。
ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)