2.アタッチメントと育て直し(8)
次のケース、高1の子が、こんな幼児みたいな絵を書く子どもにまで戻っちゃう。
三、四歳まで退行して、こんな絵を描く、そして、少し文句を言えるようになったら、悪魔の絵が出てきました。反抗期を表していると思いますが、育て直し、もう一回育て直している、これは同時に親も育て直しています。ただ、当時私はあまり親のほうは意識していなかったが、親も実は育て直していたということを、後々考えるようになりました。
次ですが、これは普通だとこういう絵を描く子なんです。
普通の絵もよく見ると女の子が下に倒れて、悪魔が住んでいそうな家で、普通じゃないですけど。退行状態、赤ちゃんに戻る、病院でそういうことを診て、人間の心って不思議だなって思った。高1の子が三、四歳の子になってしまう。
時々育て直しというのはすごく批判されて、精神科医の先生なんかで大人になっている女の子と添い寝するとかいう変なことをしている人がいます。私はそういうのには最初から違和感を持っていました。幼児期ならば、ある程度、例えば三歳の子が下の子にオムツをさせているから私もさせろというのは、それは一過性のもので健康ですけども、思春期ぐらいがぎりぎりのところですかね。治療という一つ、守られた関係の中でそれをやっていくのがいい。その年齢を過ぎたら、言葉による癒やしや言葉による依存とか甘えとか、そういう世界に変えていかないと、大人になっている人をあたかも幼児のように育て直させる、退行させるなんてもってのほかです。そういう誤解あるので、いつもこれは注意を促しています。
次は先ほどの分離個体化の図ですが、子どもって、こうやって親から離れて、最終的には自分の中に母親像というのを入れていくことができる。
母親像がいい人というのは、基本的に対人関係の像がいい。厳密には母に限定せず、「母なるもの」と言った方がいい。母その人かどうかは問われないと思います。
時間オーバーしてすみません。
前川
ありがとうございます。井原先生の今のお話は、育て直し、壊れた子どもをいかにして育て直すかというのを、井原先生が経験された30年以上の臨床を基にした具体的な話です。ボンデング障害とか愛着形成がうまくいかなくて壊れた子どもをいかに育て直すかという理論です。ケース・バイ・ケースなので、全て同じ子どもはいませんので、そのことを濃縮して話されたのが、今の話です。
もし何か質問がありましたら、また後で質問として上げてください。よろしいですか。
それでは、最後の諏訪先生のお話に移りたいと思います。保育における愛着形成のお話です。先生は、さやま保育サポート会の代表理事で、長年にわたり、この問題について実践してまいりました。このテーマは非常に奥が深いお話ですので、ぜひ先生の話を、いわゆる保育園においていかに愛着形成とか、非認知的な領域を育てるかという問題です。
どうぞ、先生、よろしくお願いします。