5.会場の皆様から頂いたご質問とその回答(5)

質問11(保育園の方)

4月から新年度に変わり、新入園児も入園し、環境も変わります。保育士の関りも含め、どのような体制、慣らし保育の方法をすることで、お子さん一人一人が安心した園生活を早く送れるとお考えですか??

回答11(諏訪)

新年度入園の親子さんに奨めて、年度末から入園までの間に、親子で園に来てもらいます。私たちの研究グループでは、この方法を「親子同時通園」と呼んで、途中入園の方々にもお奨めしています。子どもは、安全基地である親と一緒に新しい場に入れば、心のゆとりもあり、新しい環境を眺め、そこにいる子どもたちへも関心を向け、保育者にも馴染みます。新年度の保育士が決まっている場合には、そのクラスで受け入れするか、新年度のクラスで受け入れるか、工夫されるといいのではないでしょうか?

この方法は、殊に育休明け前の親には、活用しやすい方法です。また新年度開始一週間くらい、朝の受け入れスタッフを固定して子どもが馴染みやすい雰囲気を作っているところもありますし、担当制をとっている園では、出来るだけ担当者が受け入れるように努めています。子どもが保育士に安心感をもつように、どう工夫するか、皆さまでお話い合いをなさるとよいでしょう。

質問12(保育園の方)

親から見た子どもへの関わりの視点と保育者側の視点が違う場合、どのように親支援アドバイスをして理解してもらったら良いのか。

回答12(諏訪)

親が子どもにベタベタさせないという方針をもっていると仮定した場合、アタッチメントを求める幼い子どもの発達欲求とは明らかに反していることになります。そういう親は、バンとアタッチメント理論の正論を説いても、恐らく理解しようとしないでしょう。親が突き放していれば、子どもは不安定な状況を現して、親もいい子だと思えていないのではないかと思われます。子どもの欲求に添って、保育士が安全基地を提供し、子どもの情緒が安定すれば、表情や行動が大きく変わります。その愛らしくなったわが子の姿に親が気がついたとき、アタッチメントの必要性を伝えれば、効果的と思います。実際に、事例であげた担当制で双子の高齢出産の母親は、長い時間をかけて、その大切さに目覚めていきました。

質問13(認定こども園の方)

認定こども園となり、土曜保育も行っている。1~2才児の方は土曜日利用した子どもは、ウィークデーの親が休みの時に一緒に休んでもらっているが、幼稚園のほうは6日続けてくる子も多い。こうした子に対して、先生方も一所懸命対応しているが、淋しさの姿、ストレスとみられる姿などに可愛そうに思う。親も生活があるのでどこまで許容すれば良いか困っている。

回答13(諏訪)

あなたの園の保育システムに通じていませんので、具体的にお答えできませんが、お子さんの淋しさやストレスを保育者が親に代弁するのはとても難しいことですね。親御さんがセカセカ迎えに来て、子どもの手を引っ張って帰るようなお迎え風景をよく見ます。保育者も大変でしょうが、ちょっと踏ん張って、子どものその日、頑張った姿をさり気なく伝えて、「おうちでもお子さんと**を一緒にしてみてください」など、親子の楽しい関わりのヒントを伝えてみてはいかがでしょうか?お子さんの愛おしさに心を向けるゆとりを親が取り戻せば、「ちょっと早くお迎えを…」とか、「週休二日の週は…?」とか、時には言えるかもしれませんね。パートタイムで働く母親ほど、就労条件が厳しいのが世間一般の状況です。母子家庭であれば、掛け持ちで働いている場合もあります。先生方の頑張りにも限度はあると思いますが、スタッフのお話し合いを重ねて、個々の家庭状況に合わせた適切な対応なさいますよう期待しています。