5.会場の皆様から頂いたご質問とその回答(6)

質問14(保育園の看護師の方)

看護師として勤務し主に0才児クラスの保育に入っています。担当制はしていませんが、保育士の個性と経験により自然に懐きやすい子どもが、保育士によりできており、難しい保護者には自然とリーダーが対応できる様になっています。

アタッチメント理論も保育士に理解され幼児担当保育士と乳児担当に分かれてきています。

このまま、幼児専門保育士と乳児専門保育士となっていくのでしょうか。

回答14(諏訪)

確かに子どもと保育者の相性のようなものはありますね。あなたの園の場合、それを前提に、スタッフの方々が穏やかに対応されているようで安心いたしました。アタッチメント理論を下敷きにされて保育を展開されていることも、親子にも先生方にも幸せなことと思います。乳児保育と幼児保育は専門性が異なりますので、分けることもいいのでは…と私は考えています。ハンガリーなどでは、3歳未満の乳児専門園に接続して、上階に3歳以上の園が設けられていました。ゆったりとおおらかな保育士さんに抱かれたら、幼子は安心するでしょう。保育士の持ち味が活かせたらいいですね。どうぞスタッフの気心を合わせて、優しい保育を続けてください。

質問15(保育園の方)

0~2才までのアタッチメントの重要性は、とても理解ができます。3歳以降、途中入園等で5才児入園で形成ができていないお子さんに対しての園での愛着形成の仕方を伺いたいです。

現在受入れるようにしていますが、その様子を見た、安定していた子どもたちの間に同じようにされたいという思いができてきたのか、クラス全体が甘えが強くなっている様に思います。

また、甘え(愛着)を中心に考えると、子どもの主体性に重点をおくと、しつけの部分が少しおろそかになる様に感じる保育者(年配の保育者)がいます。

このバランスをどの様に、お考えになりますか?

回答15(諏訪)

アタッチメントは、0~2歳の子どもだけに必要なものではなく、私たちが生きていく上で、一生必要なものと私は思っています。人が他者に親しみを覚え、その人に受け入れてもらい、心を委ねることが出来たら、私のように後期高齢者になっても幸せな気分になれます。人が、恋人や夫などに求めるものも、アタッチメント的な感情に他なりません。

だから5歳の子にも、不安定であれば、あなたの園で試みられているように、特別メニューで遇してあげることは素敵なことと思います。そしてその姿を見た他の子どもたちが甘えたくなるのも、赤ちゃんが生まれた際、上の子が赤ちゃん返りする姿と似て当然の姿です。

私たちは、みな自分が一番に愛されたいと欲求しています。「愛としつけのバランス」を真っ先に考えるのではなく、お食事の後とか、帰りのときとか、ある時間や場を設定して、「今日はあのつく女の子をハグしちゃお!」とか「今日は先生、黄色のお洋服が大好きになった!」とか「先生とかけこっして勝った子を抱っこしてあげる!」とかいろいろ工夫して、大勢な子どもとのアタッチメント実験を試みてくださいませんか。

子どもたちは、気持ちが満たされたら、きっときまりや約束事を守り、自立的に行動するようになります。それがしつけ。先生のアクティブで楽しい実践を期待しています。