3.保育における愛着形成(10)

ここから次の研究テーマへと発展して行くのですが、私達が第Ⅲ部のアンケート調査の中で見つけたのは、受け持ち制をどうするかという問題でした。皆さん方は「担当制」という言葉を使っていらっしゃいますか。

保育の中での保育者の継続性 保育の落ち着きを生む担当制保育

この図のように、例えば1歳児15人のクラスでしたら、保育者が4~5人はいますね。担当制というのはH先生がAちゃん、Bちゃん、Cちゃん…に主としてかかわる、K先生はG・H・Iちゃん…にかかわるという風に、特定の先生が特定の子どもたちの保育を主に担うのが担当制保育です。そんな保育をやっていらっしゃるところありますか?わずかですけどありますね。うれしいことです。他に保育者のくせがつくからくるくる変えるというやり方(グループ担当交代制)の園もあれば、どうせあれこれ決めたって、シフトや何かで決まった保育者が決まった子のところに行けないから、適当にやればいいのよということで、複数の担任で適宜に保育するという保育もありますね。

担当制保育①高学歴・高齢出産親子を支える

次は実際に小川晶さんが最近お取りになった担当制のデータをお借りしておりますが、担当制をとって保育している公立園ですが、高年齢出産で双生児をもうけた母親を支え続けた実践事例です。パニックに陥った母親を決まった保育者が支え続けていくのは相当きついことですが、先生が固定しているからこそ、責任をもって立ち向かっていけるというよさもあります。

担当制保育②親子の生活を支える

次は民間園の担当制の事例ですが、ベトナムから来たご夫妻を支えています。相互理解が深まれば深まるほど、にっちもさっちもいかなくなる状況も生まれますけれども、信頼感で結ばれれば、深い支援ができるということでもあります。このような事例を通して、担当制保育のよさを感じとって頂けるのではないでしょうか。

もっと以前に、担当制と持ち上がり担任制をやっているという公立園に出会ったこともあります。

③担当制と持ち上がり制

この斜め線が引いてあるところが持ちあがり担任制です。0歳クラスをもった繁田先生が0歳クラスについて上がり、1歳を受け持った繁田先生が2歳クラスについて上がっていますね。全部の先生をもち上がりにはできませんけども、一人の主要な先生がもち上がっていくことで、子どもたちの安全基地を用意していくという取り組みです。私は、ここの園に3年間、園内研修という形で入れてもらいました。先生方が夜遅くまで熱い議論をたたかわす輪の中に身を置いて、わくわくどきどきさせてもらいました。