5.会場の皆様から頂いたご質問とその回答(1)
質問1(匿名)
3歳児の子どもが、自分の思い通りにならず泣いて訴える。
母親も最初は優しく声をかけたりしていたがおさまらず、つい手を出してしまった。そのことに反省し、悩んでしまう。
母親も第二子を出産したばかりであり、本児に少し自立してほしいと思うこともあった。
この際、保育士としてどの様に保護者へ声をかけると良いのか。(その際、母親は本児の気持ちを受け止めているし、理解はしている)
回答1(前川)
人間は脳が未発達で未熟な状態で生まれてきます。その後10年以上の歳月を掛けて、ゆっくりと成長していきます。その過程でママ達を悩ませるのが2歳頃から始まる「イヤイヤ行動」です。その原因は、脳の表層にある「前頭前野」と呼ばれている部分が未だ機能し始めていないことにあります。前頭前野は、目標達成のために衝動的な欲求を抑える脳機能の中枢です。これが未発達のうちは、脳の中心付近から湧き起こる本能的欲求を抑えることができず、イヤイヤ行動が引き起こされてしまうのです。母親を悩ますイヤイヤ行動は子どもの脳が発達している証拠で、このことを理解し対応すべきものです。何かするときは「これから〇〇をしたいのだがいい?」「〇〇と〇〇とどちらがよい?」と子どもにたずね、選択をさせ、イヤと言ったらそのまま暖かく見守ってください。母親は自立させようと悩む必要は全くありません。〇〇ちゃん大好きと抱きしめてあげてください。4~5歳になれば我慢できる嘘みたいによい子になります。第1子は第2子が誕生すると今まで独占していた母親を取られてしまうので、赤ちゃん返りやいろいろの行動をします。母親は発育的に未だ無理な第一子に自立を要求します。すればするほど子どもは反抗をします。保育園では母親の代わりに沢山スキンシップをして、甘えさせてください。言葉を掛けながらうんと抱きしめてください。問題は自然と解決します。イヤイヤ期は正常な子どもが通る通過点プロセスで少しも心配するものではありません。このことを母親に伝えて安心させてください。
質問2(保育園の方)
グレーゾーン、イエローゾーン、レッドゾーンについてもう少し具体的に知りたいのですが。
回答2(前川)
子どもの心は母親の養育態度に影響されます。子どもを思う母親の愛情が強すぎても、弱すぎても心は育ちません。母親の「関わり方」には「過剰な関わり方」、「適切な範囲の関わり」、「希薄な関わり方」の三種類があります。それらの程度がひどくなるほど心は育たなくなります。過剰な関わり方と希薄な関わり方はグレーゾ、イエローゾーン、レッドゾーンと程度がひどくなるほど、心が育たなくなります。希薄な親の関わり方は親自身のことを優先して考え親役割や責任に欠けている、子どもの生活リズム・生活習慣・衣食住などが整えられない、子どもの発達に合せた対応・時間共有ができない子どもの意図・サイン・気持ちが汲み取れず、寄り添うことができないで、ひどいと虐待の一種、ネグレクト、心理的虐待となります。過剰な関わり方の親は力を持ってこどもを制する、子どもを否定・否認する態度を示す、威圧的な言葉掛け・叱責を行う、怒りを子どもにぶつけて制御する、子どもに過剰な干渉をするで、ひどいと身体的虐待、心理的虐待となります。