3.保育における愛着形成(12)

3.3歳未満児保育の拡大と保育の課題

大急ぎでまとめをさせていただきます。3歳未満児の保育がどんどん拡大する時勢を迎えて、何よりも大切にしたいのは、幼子たちが安心していられる保育の場を創出することです。最近、子どもの安心安全を守るとは…で、よく用いられているのがこの「安心の輪」の図です。

⑦安全基地・心理的拠点の形成

この図は、アタッチメント理論を下敷きにして、子どもが大人(保育者)に甘え、見守られながら自立に向かっていく状況を示しています。この両手を広げているのが親でもあり先生でもあります。子どもが「わーん」と泣いて先生や親のところへやって来ます。大人に「痛いの、痛いの、飛んでいけ!」と慰められると、けろっとしてまた遊び出しますね。その「痛いの、痛いの、飛んでいけ!」がとても大事なわけです。その子の痛みや怖さに共感し、それを取り除き、その子に安心感とさらに新しいことに挑戦しようという勇気を与えることは、その子に寄り添っている保育者や親にしかできないことなのです。言い換えれば親や親しい大人がやってあげるべき慈しみなのですね。

3歳未満児保育が拡大する中で、子どもが心底、安心して暮らせる園、子どもの心の拠り所のある園をどうつくり出していけるかが、わが国の保育の大きな課題と思われます。他者との協調性と自立性に富んだ子どもを育てることは、少子化日本の行く末を考えるとき、非常に重要なことです。「先生同士あまり話し合えない」し、「話し合っていろいろなことをする時間がない」という愚痴もよく聞きます。そんな状況の中で「保育をよくするなんて、とてもとても…」というのが多くの園の実情かと思います。しかし子どもにはよい保育を届けたいとお思いになりませんか。