発達に遅れや偏りのある子どもの遊び
感覚遊びは、最も初歩的な遊びであり、視覚・聴覚・触覚などの感覚を働かせて楽しむものです。
また、運動遊びは、筋肉を伸縮させ身体全体を動かして楽しみます。子どもは発達とともに、身体の動かし方がより複雑・精巧になっていきます。発達に遅れのある子どもの中には、感覚遊びにばかり没頭してしまい、本来の用途や遊び方と違う楽しみ方を行っている姿があります。また、多動な子どもやエネルギッシュな子どもは、単純に身体を動かす・走る・跳ぶなどの運動遊びを好み、自身の身体に刺激を与えて楽しむ姿もあります。いずれも低発達段階や行動特性などから嗜好してしまうものです。
一方、想像遊びは、ごっこ遊びが代表的なもので、お母さん役や架空のもの(戦隊ヒーローやアニメのキャラクターなど)になりきって遊んだり、色々な人の社会的役割を理解していきます。発達に偏りのある子どもは、著しく現実離れした想像遊びをしたり、一日中その役になりきってファンタジー性に浸って遊び、現実との区別がつかないでいることもあります。
受容遊びは、絵本を見たり、お話を聞いたりする遊びです。知的好奇心や情操の発達と関係があります。また、絵本にはたくさんの種類があります。子どもの年齢の他に、言語発達や生活経験などによって、理解と好みなどが異なってきますので、個人差なども考慮した上で絵本を選びましょう。発達に偏りのある子どもは、興味関心の範囲が狭かったり、限局的であったりします。したがって、自身の好みの玩具や遊びなどに終始してしまう姿が多く見られます。自発性、自己完結性や自己報酬性といった遊びのもつ役割は網羅しているとも言えます。しかし、遊びそのものに発展がみられず、他者とのコミュニケーションが狭められてしまうことがあります。保育者とのやりとり場面に誘い、少しずつ現実的な遊びを体験させていったり、類似した玩具や絵本などに目を向けるように工夫して、興味関心を拡げていけるとよいでしょう。保育者との関わりが上手になっていけば、次に、友だちとのやりとりに少しずつ拡げていき、社会性を育てていきたいものです。
構成遊びは、積木をつんだり、絵を描いたり、折り紙・切り紙をするなど、何かを作る遊びです。従来は、想像する喜びを感じさせる伝統的な遊びとして知られてきたものです。しかし、近年では、ミニカーや電車そのものの玩具セット、絵やマークがきれいにプリントされた積木、迷路やキャラクターが描かれてある絵図版などのリアルな玩具が主流になっています。想像したり、知恵を出し合う必要がない遊びになってしまいがちです。イメージする力に弱さをもつ発達に遅れのある子どもにとっては、リアルな玩具は遊び方や玩具の用途、状況理解などの手助けにはなってくれます。従って、遊びへの参加率は上がったりします。しかし、イメージする力はなかなか育ってくれないのも現実の課題としてあげられます。他の子どもが遊んでいる構成遊びを見せたり模倣させる中で、見立てることを理解させたり、できあがりの物を少しずつイメージさせましょう。こうした制作活動を通して、見通しをもって遊ぶことを身につけていきます。