総合討論(25)
ご質問の中には、偏見につながることを危惧されているような内容もあります。当然そうなのですが、でも、子どもたちの間では、あの子は乱暴な子だなとか、あの子は一人ぼっちでいつも遊んでいる子だな、お友達がいない子だな、ちょっと奇妙な行動をとる子だなということは実際にはわかっていることなので、そのことに対して質問されてきたときに、「そうだね。ちょっと先生もよくわからない」といってごまかしたりすること自体が実はナンセンスでして、「あの子、ちょっと元気がよすぎて、ぶったり、たたいたりするよね。そういうときには、だめって先生に言いに来て。ちゃんと先生からも言うよ」というようなことも伝えるべきなのかなと思います。
私は、周りの子たちへの説明が大事ですよという話の一つとして、実際、発達障害とか知的障害のお子さんたちは、直接的にいろいろ介入して対応しても、その子たちがいろんなことを覚えていく、できるようになっていくというのに関しては、結構時間がかかります。ところが、周りの健康な子たち、うまくやれている子たちに上手に説明して、その子とのつき合い方がうまくできるようになっていくというのは、当事者である子どもが覚えていくよりも時間的には短いんですね。周りの子たちのほうが成長が早いので、周りの子たちにまずいろんなことをわかってもらうことを優先したほうが、実はトラブルが減少することもわかってきています。
そういうことでトラブルが減ってきますと、当事者であるうまくやれない子本人も、環境的には安定していきますので、少しずつ我慢ができたり、うまくやれる場面も増えていきます。そういう意味で、周りのお子さんに説明をお願いしますということです。