総合討論(3)
前川 橋本先生のお持ちの質問をお答えいただけますか。
橋本 健診の話ですよね。私自身は心理なものですから、巡回相談とか、行動とか発達を見ていく立場で、健診は基本的にはお医者さんがやってくださいますのでね。私自身は、そこで問題ないよと言われちゃうと、保護者は、やはり問題ないんだという話になっていってしまう。どこの場所でその子がどう困っているかという話なので、子ども自体の健康の問題は、お医者さんが診て、今現在は問題ないとそのお医者さんがおっしゃったということだけであって、保育の場、保育所や幼稚園の場では、「子ども自身はこういうところで困っていますよ」というお話は、実際にはできるわけですよね。
逆に、子育ての不安を抱えているお母さんが、健診で保健センターに行って、お医者さんや保健師さんにいろいろ訴えても、「いや、それはお母さん、考え過ぎよ」と言われるケースもある。でも、実際お母さんはやはり困っているわけですし、メンタルな面で弱っていたり、課題を抱えているお母さんは特に過剰反応しますね。そうすると、どう感じているかというと、やはりうまくやれていないということが、どこか親であり、保育所や幼稚園の先生方であり、感じているということに対しては、ご家族やいろんな方にその情報は共有していくということが大事です。
だから、正しいか正しくないかとか、診断がつくかつかないかということではなく、今この場で、子どもさんはこういう状況で、ここでは困っているよね。誰が困っているかというと、一番は、主役は子どもなので、子どもが困っていると言いたいわけですけれども、幼児の場合は、子ども自身が、「いやあ、僕、この先生に育てられて困っている」というのは言ってくれませんし、「うちのお母さんの育て方に困っている」と言うお子さんもいないわけですから、やはり周りの大人がいろいろと見合った上で、だから一人の先生ではだめなんだと思うんです。一人の親御さんではだめで、いろんな人が見合った上で、「こういうところは恐らく子どもは困っているよね」という情報、事実を共有していくことが大事かなと思っています。
前川 ありがとうございます。