総合討論(11)

秋山 先生方はよく勉強されているので、「この子も発達障害かな」ということを頭に入れて、それをどう伝えたらいいかと思われることもあると思うんですね。でも、それを伝えようとすると、なかなか切り出せなくなったり伝えられなくなったりします。

そこで、今、橋本先生がおっしゃったように、その場面、場面で事実を伝えていくのが一番いいと思います。発達障害ということを伝えなくても、困っていることに対して、対応はそのときからできるものなので、そのほうを優先したほうがいいかと思います。

それから、質問の中にもありましたが、どうしても親の問題となったときに、こういう親―子どもの面倒を見てくれていないとか、先ほども、休日は夫婦で遊びに行くとか、ありましたけれども、みんながみんな、普通の親の考え方になってもらいたいという思いがあります。

でも、普通の親の考え方になってもらうのは、ものすごく難しいです。そこで、今、「子どもにとって何をしてほしいか」という具体的なところで親と話をしたほうがスムーズになります。例えば、早寝早起きして朝ご飯を食べさせる親になってもらいたい場合には、「朝ご飯を食べてこないと、午前中におなかがすいて遊びにも集中できないんですよ。だから朝ご飯は大事なんです」という話よりも、「お母さん、朝ご飯はご飯とパンとどっちが準備しやすい?」「パンが準備しやすい」「じゃあ、パンはいつ買える?」というふうに親の生活の中での具体的な話をする方が、「そうか、夕方にパンを買って帰ればいいんだ」と、親は、聞き入れやすい気がします。