予防接種(4)

B型肝炎:我が国におけるB型肝炎母子垂直感染予防は、免疫グロブリンとB型肝炎ワクチンを用いた「HBV母子感染予防事業」として1986年に開始され、その後、健康保険適応になりました。この母子垂直感染予防は、児のキャリア化予防に大きな効果を発揮しましたが、予防スケジュールから漏れたり逸脱したりする者もあり、確実とは言えませんでした。さらに、近年の研究によると、B型肝炎ウイルスは、血液以外に、精液や唾液、尿、汗、涙、鼻汁などの体液にも含まれており、それを介して感染する可能性があること、小児においては母親以外の家族や保育園、幼稚園における水平感染、成人では性行為や医療関連の水平感染があることが明らかになり、全ての小児に対してB型肝炎ワクチンを接種する必要があるとされました。このため、2016年10月に、B型肝炎ワクチンが定期接種化されました。全ての児の感染予防(ユニバーサルワクチン)には、生後1歳までの間に3回、1回目と2回目の間は27日(4週)以上、1回目と3回目の間は139日(20週)以上の間隔をあけ、標準的には生後2か月、生後3か月、生後7〜8か月に接種します。母親がB型肝炎のキャリアである場合の母子垂直感染は健康保険適応となり、従来通り生後0か月(生直後)に免疫グロブリン投与とB型肝炎ワクチン接種を行い、生後1か月と生後6か月にB型肝炎ワクチンを接種します。家族内に母親以外のキャリアがいて、水平感染予防が適当と考えられる場合は、定期接種として生後0か月(生直後)、生後1か月、生後6か月にB型肝炎ワクチンを接種します。全ての小児へのB型肝炎ワクチン接種が順調に進めば、我が国におけるB型肝炎キャリア率は大幅に改善すると期待されます。