保育所・幼稚園における「育てにくさ」への対応(9)
先生方から見て、または親御さんもそうですが、気になる行動、大人にとってわかりにくいなという行動が出た場合、どうしてもそれをなくそう、おさめようというふうに走るものですから、子どもにとっては逆に、「だめ」「だめ」と禁止されるので、わかってもらえない、受容されない、認められていない、叱られてばっかりだ、もういいという感じで、不安定になってくる、いらいらしてくる、緊張していくということになり、ますますそういった行動上の問題を示すということで、実は気になる行動は、対応によっては増幅されていきます。
だから、先生方からすると、当たり前の保育、当たり前の対応をしているつもりだったのですが、悪化させているという場合も実はあります。おさめよう、おさめようというふうに努力して言ったがために。だから、どうしてそういう行動をやるのかな、何が効果的かなというところを立ちどまって考えていただかないと、この子にとってよくないから、これは周りの子に迷惑だからといって、それを抑えよう、抑えようとなりますと、実は行動的には増幅されていって、「だからあの子はやはり障害なんだ」というふうに大人からは見えてしまうこともあるのですが、実はそうではなくて、大人の対応が過剰に対応し過ぎると、そういうこともありますよということです。
気になる行動について、ぜひ、こういうふうに見立てていただいて、発達の遅れの問題か、どの領域での遅れなのか、そして、行動上の問題もどの部分で問題が起きているのか。背景の要因も、実は子どもの問題ばかりではなくて、実際には園の問題もあります。集団がその子にあまり合っていないとか、その子の環境に合っていないという問題もあるわけです。それから、家庭の問題もあります。だから、どの問題が一番大きくて、どれを削っていってあげたり考えてあげると、少し緩和されるのかなということも見立てていく必要があります。
支援の手だては、常に直接的な保育でどうこうということよりは、先ほどからお話に出ているとおり、保護者との連携とか、または、発達障害の子たちなんかは特にそうですが、専門的な療育へつないでいくことも必要になってきます。ですから、園の中でやれること、生活面への支援、遊び、活動への支援、お友達関係とか集団参加のサポートということと、保護者や専門機関、病院とつながっていくということは分けて考えて、こっちはこうしよう、こっちはこうしようというふうに幾つか手だてを立案していただかないと、解決には導かれないことがあるかと思います。