総合討論(24)

それから、僕のところへ来ているのが、幼稚園からです。「本園の3歳児で、食事の仕方が気になるお子さんが増えています。極端な偏食、そしゃくができない、いつまでも口に入れていてかまず、飲み込むことができない。家庭での小食を気にしている保護者もいます。どのような対応が望ましいのでしょうか。ご助言をお願いします」。

橋本先生これに対してもし助言があったら、してあげてください。

橋本 あと、私のほうにまだ幾つかありまして、「周りの子たちにどういうふうに説明しますか」ということで、実際には当然、この子は自閉症だからねとか、ダウン症だからねなんていうことの説明はあり得ません。これは、小学校になっても中学生になってもそうでして、障害名とか病気の名前を周りの子たちに伝えることは、いろいろ誤解も呼びますし、人権の問題もありますし、当然これは、保護者会でほかの親御さんに説明するのもまずいということになっています。

ただ、ちょっと脱線しますが、最近、「我が子は自閉症と診断をされているので、それを保護者会で説明したい」というふうにおっしゃる親御さんも出てきました。親御さんが言いたいのだからいいじゃないかという話にもなるのですが、ここはやはり気をつけなくてはいけないところです。親御さん自体は、全員、保護者会へいらっしゃるのは大人ですからいいんです。でも、その大人が家庭に帰って、その障害名や病気のことについて子どもに伝えることがあるんですね。まだいろんなことが理解できていない子たちに、本当に診断名が伝わっていいのかという話もあります。お母さんたちに口どめしても、しゃべる親御さんもいますね。だから、その辺は難しいですよね。そういうことも踏まえて、いくら保護者会で説明したいと言っても、そういう影響も考えて当事者の親御さんとご相談していただければと思います。

周りのお子さんたちへの説明ですけれども、基本的には、その子のやっている姿をポジティブな形で伝えていく。つまり、さっき、髪の毛を引っ張っている男の子の絵がありました。では、その子のポジティブなところをどうしゃべるのかという話ですが、実際には、「ちょっとカーッとなってお友達にすぐ手を出しちゃうんだよね。Z君は、まだそういうことが上手にできない子なんだよね。おなかの中にすぐイライラとしちゃう、イライラ虫みたいのがいるような感じで、Z君はすぐカーッとなっちゃうんだよね。だから、そういうときは、ちょっと危ないなと思ったらみんなは離れちゃうしかないよね」「逃げようね」「先生のところに言いに来てね」というような対応も当然伝えていくわけです。

実際はその問題行動について、やわらかい言葉で、子どもたちがわかるような言葉で、まだそういうことがうまくできない子だよということは事実ですから、その辺は周りの子たちに伝え、そして、こういう対応をしたらいいよということも、周りに説明していただけることが大事なのかなと思います。