総合討論(31)

秋山 場面緘黙のお子さんについて、お答えします。場面緘黙のお子さんは、安心して過ごさせるというのが必要なので、しゃべらなくてもいいんだよという雰囲気がまず大事なんですね。おうちでしゃべっていて、園では一切しゃべらないということもアリです。こういうことをしたいのかなとか、こういうことを言いたいとかがわかれば、こちらから言葉にして、そうなんだねと言ってやっていけばいいかと思います。

その子どもの気持ちを代弁するために加配が必要なのかどうか。担任の先生がそこをちゃんとフォローできれば、加配は要らないかもしれません。

橋本 今日のテーマである「育てにくさ」という言葉ですが、障害があるとか、なしとかということではなくて、ご家庭では親が育てにくい、保育所や幼稚園では保育しにくい。つまり、先生方からすると、3歳児だったらこう保育したい、4歳児クラスにいる子だったらこんなふうに育ってほしいという、その育ちへの願いというのがありますよね。その願いに対して、ああ、うまくやれない子だな、ほかの子は結構やれているのに、この子だけはうまくやれていないなということですから、実際は、保育所の加配というのは、迷惑行動があったり危険な行為があったり、安全が確保できないからといってつけることが多いですけど、今日のテーマからいうと、そういう育ってほしいということが、なかなかうまく育てないというお子さんに対してどう対応するかということでして、絵本ですとか、ごっこ遊びとか、ルールのある遊びに対して、うまくやれないということだと思うのです。

だから、場合によっては人をつけることもあるでしょうし、人をつけなくても、親御さんと一緒に話をしながら、「園ではこういうことができるようになっていってほしいけど、うまくできないですね」なんてお話を、ぜひしていってほしいということです。