支援が必要な子どもの参加可能な遊び

枡・橋本の調査結果(2016)(6)で、保育者があげた保育する上で特別な支援が必要な子どもの特性について表2に示しました。子どもの年齢によって、支援ニーズの実態が大きく違います。また、こうした子どもが楽しく参加可能な集団遊びについて担任する保育者に調査した結果を表3に示しました。5歳児になると、種々の集団遊びに参加できるようになることが明らかになりました。

一方、支援の実際として、間接的な支援(環境設定、少人数対応、保育者間の連携、活動時の工夫など)の方が、直接的な支援(個別対応、言葉かけ・働きかけの工夫、保育者の加配など)より多く実践されていました。支援の順序として、まずは間接的な支援を実施し、効果を判断しながら、その次に、子どもへの直接的な支援を展開していきましょう。

表2 保育する上で特別な支援が必要な幼児の特性(枡・橋本,2016)

表3 特別な支援が必要な幼児が参加可能な遊び(枡・橋本,2016)

文献

  1. (1)ベネッセ教育総合研究所(2016):園での経験と幼児の成長に関する調査―卒園前の年長児をもつ保護者を対象に―.
  2. (2)ベネッセ教育総合研究所(2015):第5回幼児の生活アンケート.
  3. (3)カイヨワ(多田道太郎・塚崎幹夫訳)(1971):遊びと人間(増補改訂版).講談社.
  4. (4)加藤泰彦・他(2007):子どもの遊びと発達1―ピアジェの構成論と物と関わる遊び.大学教育出版.
  5. (5)河崎道夫(編)(1983):子どもの遊びと発達.ひとなる書房.
  6. (6)枡千晶・橋本創一(2016):インクルーシブ保育における特別な支援を要する子どもの活動参加に関する調査報告―参加可能な遊びに着目して―.小児保健研究、75(4).
  7. (7)日本小児科保健協会(2011):幼児健康度に関する継続的比較研究.平成22年度厚生労働省科学研究費補助金成育疾患等次世代育成基盤研究事業.
  8. (8)ピアジェ・他(赤塚徳郎・森楙監訳)(2000):遊びと発達の心理学.黎明書房.
  9. (9)仙田満(2009):こどものあそび環境.鹿島出版会.