母子健康協会 > ふたば > No.76/2012 > 特集 座談会 「子どもの心を育てる」 > サルと人間—どこが同じで、どこが違うか(3)

座談会「子どもの心を育てる」

正高あれはある意味で人間にかなり近いのではないかと思っているのは、人間だって、夫婦が永遠に同じようにつがいになって暮らすなんていうのは、多分、ごく近年起きたことで、昔は結構入れかわっていたと思うんですよ。でも、入れかわっている中でも、自分と血のつながっていない子どもでも許容して、子殺しせずに、ちゃんとそれを育てるというところから家族というのは生まれたのと違うかなと思うんですね。

前川人間だけが社会で子どもを育てるというのは本当ですか。

正高ですから、テナガザルはある意味で社会で子どもを育てているようなものじゃないかと思っているんです。

前川人間はそうじゃなくなっている。

正高人間はむしろそうでなくなっちゃったんですね(笑)。日本は社会で育てていないわけです。まるっきり社会で子どもを育てないわけですから、自分の子どもだけをかわいがって、よその子どもをかわいがったりしない。

前川大問題ですよね。

山口昔は日本でも伝統的に、ほかの子でも一緒に見るような……。

正高それが当たり前だったんですね。よその子が何か悪いことしても注意するのが当たり前。今はほとんど注意しないですよね。よその子が何をしていようと注意しない。自分の子どものことしか考えないし、興味の焦点に入ってこないというふうになっているのは大きな問題なんじゃないですかね。

前川このままでいくと悲観的な話ばっかりですね(笑)。少し夢を持って対策を話さないと、座談会が、「子どもを育てる」じゃなくて、子どもがいなくなるということになってしまうと大問題ですね。

母子健康協会 > ふたば > No.76/2012 > 特集 座談会 「子どもの心を育てる」 > サルと人間—どこが同じで、どこが違うか(3)
事業内容のご紹介 協会の概要活動の概要設立の経緯協会のあゆみ健康優良幼児表彰の歴史
最近の活動のご紹介
小児医学研究への助成 機関誌「ふたば」の発行シンポジウムの開催 Link:Glico