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座談会「子どもの心を育てる」

最近、感じること——対応の提言

前川皆様が最近感じたことでお話いただいた問題について、子どもの心を育てる対応の提言をお話いただけますか

冨田私がいつもお母さんに言っているのは、小さいときは「なめるように」かわいがれと。動物が生まれてきたとき、仔をなめるのと同じですね。とにかく2歳まではなめるようにかわいがる、つまり親子の距離0の状態でよい。2歳を過ぎれば少しずつ距離をとっていく、つまり先ほどの父親的な、厳しさをあたえていく、判りやすく言えばしつけをする。

それから是非、言っておきたいのは、しつけというのを、今はほとんどの場合、平仮名で書かれていますけど、躾は「身を美しく」と書く、日本でつくられた「和字」ですから、日本人の持っている身体感覚も含めて、身を美しくするということに込めた独自の思いが、この字に表れていると考えて欲しいのです。私はこれこそ日本人的な美意識であり、それが子育ての基本にあるから、このような字を日本人は創ったのだ思っています。漢字の本場にはそのような思考が無いのです。

それからもう一つ、いつも言っていることなんですけれども、「三つ子の魂百まで」というのは、数え年のときにつくられたことわざだから、三つ子は現在の満年齢では2歳です。発達的には、2歳というのはやっと人間らしくなるときですから、そこまではとにかくかわいがって、かわいがったらいいけれども、それ以降は人間の社会に出ていく以上、しつけ、それも「身を美しく」を教えなければならない。まあ、道徳ですよね。道徳教育というと非常に古くさいように言われますけれども、身を美しく——あの「身」という言葉にも日本的にはものすごく意味がありますよね。これさえしっかり押さえておけば子どもは普通に育っていくと思いますけれども、それができなくなった結果が、現状の子どもであり、親の問題、あるいは教育の問題と、私は考えています。

ただ、あまりに時代遅れの考えで対応しても問題が出ますが、昔の躾、育児をあまりにも、戦後の日本人は忘れ去っているように思います。もちろん、環境変化がそれを促した面もありますが……20年ぐらい前だと、うちではテレビを見せませんと妙に頑張る親もいましたが……。

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