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財団法人母子健康協会 第32回シンポジウム 「保育に必要な予防接種の知識」
3.「小児科医・園医の立場から—複雑で接種しにくい日本の予防接種」

東京小児保険協会副会長 横井こどもクリニック院長 横井茂夫先生

ほかの国は予防接種は、「行いやすく、受けやすく」というのが原則です。日本のお母さんのように細かく予定を立てられる国は他にないのです。だから、打つということを先にする。そのためには注射しやすくするしかないんだと。

【表18】をご覧下さい。うちのクリニックには海外に行く人がいます。帰ってきたら必ず、「予防接種はどうだった?」と次に、「熱を出したとき、小児科に行ったらすぐ診てくれた?」ということを聞きます。ほかの国では、原則的には診察は全て予約制なので、風邪をひいた場合は、お電話をすると、明日いらっしゃいとか、あさっていらっしゃいと言われてます。

表18 米国と中国・オーストラリアは予防接種はほぼ同じ

予防接種は逆です。中国、上海に行った人が言っていました。生まれた病院で、退院するに際にB型肝炎もBCGも打つんです。生まれて2カ月目に戻ってこいといっても、戻ってこれないのです。

オーストラリアの例は、産婦人科の先生が書いています。オーストラリアの人はほとんどがキリスト教徒ですから、教会に日曜日に行きますね。教会の横にワクチンクリニックというのが臨時にできるそうです。そこに行って、日曜礼拝でお祈りをした後、みんな打って帰る。

米国の老人の場合は、2年ぐらい前にNHKで放送されましたが、ラスベガスというのは、日本では、何とか製紙のお坊っちゃまが行って何億円賭けるんですが(笑)、そうではなくて、アメリカ人の場合には、長距離バスで行って、ご飯を食べさせてもらって、お酒を飲ませてもらって、ちょっとお金を使うというヘルスセンターのパターンがあります。そこでラスベガスに着くと、いらっしゃい、いらっしゃいと言われて、インフルエンザの注射を打って、その後、1日遊んで帰る。そういうバスツアーがあったんです。

ベルギーに行った人の話です。これはすごかったのは、接種するとき我々は消毒します。ベルギーでは消毒しないんです。チョンチョンと打っておしまい。岡部先生、ご存じですよね?

岡部大丈夫なんです。

横井そうなんです。日本でそんなことをしたら野蛮な医者と言われて(笑)、誰も来なくなってしまいますね。でも、本当にそのぐらい、大丈夫なんですね。

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