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財団法人母子健康協会 第32回シンポジウム 「保育に必要な予防接種の知識」
4.総合討論(2)

横井ありがとうございました。

では、私のほうからロタの話をちょっと足します。

ロタウイルスのワクチンというのは、生で飲む形、(提示して)こんな形で来ます。水飴の味がついた甘い水になっているので、こうやって切って、それを赤ちゃんの口に入れて、ポタポタポタと全部飲んでもらいます。

価格については、私のところは1万2,000円でやっています。安いほうです。マスコミでは1回3万円と質問紙に書かれた方がいらしたんですけれども、たぶん2回で3万円だと思います。1万3,000円〜1万5,000円ぐらいが多いと思います。私が安くしているのは、別に患者さんにというのではなくて、ワクチンを好きな人というのがいるんですね。好きな人はどういうことかというと、わりと医療を信じてくれている人なんです。だから、そういう人がクリニックにたくさん来てくれたほうが自分も楽だし、話しやすいので、そういう人に来てもらうためにちょっと安めに設定して、「ワクチン打とうね」と言う。そうすると、クリニックの中は病気は減ってくるわけです。だから、予防接種をすることで世の中の病気が減る。ただ、ワクチンで予防できるのはほんのちょっとで、それ以外の病気のほうが多い。でも、重たい病気は少なくできるという意味でやっています。

あと、嘔吐下痢したときに、特に保育園の看護師さんが、「病院に行ってロタかノロか調べてもらいなさい」と言う人がいます。賢い人なんですけれども、これは何の意味もないんです(笑)。治ればいいんです。インフルエンザと水痘は有効なお薬があります。だから、早めに処置すると軽く終わることは確かです。ノロもロタも薬はありません。これは経口補液です。某製薬会社のOS—1……僕はそんなことは言いません。お茶にお砂糖と塩でいいんです。お茶200㏄に、お砂糖は小さじ軽く山盛り1杯で、塩は耳かき半分くらい入れて、冷たくして、ガブガブ飲んではいけない。「おちょこであげなさい」と。2回おしっこすると、それでほぼ脱水はなくなります。

そこでミルクをあげてはいけない。お母さんの中には、栄養と考えてすぐミルクをあげるお母さんがいます。お母さんに、「お母さん、下痢したときに牛乳飲む?」と聞くと、「そんなもの飲みません」と言います(笑)。でも、お母さんの中には、栄養をあげなければいけないと思っているお母さんがいる。だから、その後あげるのは何かというと、おせんべいです。赤ちゃんせんべい。パンとかうどんと書いてありますけれども、赤ちゃんせんべいと、ニンジンのよく煮たもの、裏ごしニンジンと、あとは大根の味噌汁、リンゴの煮たもの、この4点セットで1日やっているとノロもロタも治ります。

先ほど前川先生がおっしゃったように、昔のロタとノロというのはすごく重かったけれども、どういうわけか軽くなっていますね、先生。

前川不思議ですね。

横井不思議なんです。僕が医者になった頃はノロとかロタの重たい子がいて、本当に眼がおちくぼんでインド人の子どもみたいな顔になるんです。ああいう子がいたけれども、いまはほとんど軽く、お腹の風邪で終わる時代なので、病院に行くよりは、脱水を起こさない工夫をする。売っているものでは、「OS—1」ですけれども、お茶にお砂糖と塩で、それで食欲が出るまで待っていてあげる。もしも高い熱があったり、便に血が混じったりした場合は、かかりつけ医に行ってください。そういうふうにして、なるべく病院に行ってはいけない。「病院に行くと病気をもらうのだから」と、私は言うんです。

ロタの場合、先ほどの腸重積という病気は腸が腸の中に入ってしまう病気で、昔は原因がわからなかったが、いまは、お腹のウイルス性の感染症の後になりやすいことがわかってきた。ロタのワクチンの昔のタイプを接種した子どもの中に、運悪く腸重積の子どもが出てしまったので、新しいワクチンではそういうことを起きにくくするために6カ月までに飲むのです。ロタのワクチンを2回飲んでおくと……先ほども言ったように、ロタやノロは、1回なったその後は少しずつ軽くなっていくので、最初のロタのワクチンだけ飲んでおけば、その後は軽くなる。腸重積という怖い病気は6カ月以後の病気なので、その6カ月の間に飲むことで、ワクチンで腸重積を起こすことが少なくなるし、もちろん腸重積になる可能性が減るということです。

あとは、岡部先生からインフルエンザの話を。特に今週ぐらいから東京都ではインフルエンザが一気に増えていますので。

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