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財団法人母子健康協会 第32回シンポジウム 「保育に必要な予防接種の知識」
1.「理解に必要な基礎知識」

東京慈恵医科大学名誉教授 前川喜平先生

六.予防接種の副反応と健康被害

予防接種の副反応とは、ワクチンの抗体を産生する以外に見られる総ての症状を言います。副反応には、通常見られる反応と異常反応、局所反応と全身反応があります。通常見られる反応というのは、三種混合ですと、接種部位の発赤・腫脹やしこりなどをいいます。通常にみられる心配のない副反応です。はしかの生ワクチンは、次の週の同じ曜日の前後に熱が出たり発疹が出るのが、普通見られる副反応です。風疹はほとんどありません。インフルエンザも局所が腫れたり赤くなったりすることが普通です。日本脳炎は通常見られません。BCGは打った後、針あとの丘疹だとか、小水泡ができるのが通常の副反応です。

通常みられる反応

異常反応

これに対して異常反応というのは、三種混合で、ひじを越えて前腕まで腫脹してしまう腫れ、稀に熱が出て熱性けいれんを起こすとか、脳症だとか、ショックだとか、そういうことが異常副反応です。

はしかですと、熱が出ますので、熱性けいれんが出たり、たまに脳炎とか脳症が出ることがあります。風疹は、理論的にはありません。インフルエンザでは、熱が出て、熱性けいれんだとか、日本脳炎は、ADEM(散在性脳脊髄炎)が知られていたのですけれども、いまは乾燥細胞培養型を使っています、脳の成分がないので、ADEMは限りなく起こりにくいというのが現状です。

BCGは、腋下リンパ節が化膿し破れたり、極めて稀に免疫不全の子どもが全身に撒布して全身結核になることが、稀に見る異常反応です。

健康被害は紛れ込み事故が非常に多いのです。因果関係の判定は以下の3項目により行われます。(1)接種後日数、不活化は2〜3日以内、生ワクチンは数日から4週間 (2)理論的可能性 (3)同様な患者が多発、生ワクチンは、ワクチンが増えてからですから、打って数日から少なくとも4週間ぐらいに起こったことは、日数からいくと因果関係が100%否定できないということです。接種後に同じような症例が多発した例はMMRワクチン後に見られた無菌性髄膜炎があります。理論的例として微量脳成分を含有している日本脳炎ワクチンのADEMがあります。しかし健康被害の大部分は紛れ込みの事故です。これを起こさないために、よく子どものことを知っているかかりつけの医者に打ってもらうのはそのためです。

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