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座談会「子どもの心を育てる」

保育園や幼稚園の子どもたちは純真で実に可愛い、年齢を重ねるうちそうでなくなっていく、なぜそうなるのか

冨田明るい話題かどうかはわからないですけれども、保育園の健診に行って、子どもを見ていると、本当にかわいいし、保育士(先生)の言うことをよく聞きます。ところが、彼らが思春期になると、一部は手の付けられない状態になったり、自ら悩み始めたりと、変わっていく場合があるのです。この10年余りの、いわば小学校時代に何が彼らをそのように変化させていくのか?家庭と義務教育の問題に行き着かざるを得ないわけです。これらは複合した問題になりますが、やはり「可愛い、先生の言うことをよく聞く」子どもが変化していく要因には詳しく、厳しくメスを入れていくべきでしょう。幼児期は家庭があまり色々言わない、していない家庭の子どもでも、保母さんが一所懸命していると、子どもは可愛くなるのですが……続かないようです。

前川純真で、汚れてないですよね。

冨田そうなんです。それがなぜ、ああなるのか。

水岡コンサートとか観劇の会で、子どもたちだけのときは、静かに観れるんですね。今日はこんな人形劇が来るよとか、劇団が来るよというと、子どもたちはすごく静かに集中して観ているんです。しかし親子観劇会のときになると、子どもは観れないんです。親もおしゃべりをしたり、子どもも興奮しちゃって劇に集中しない。そこはすごい不思議なんですけど、親子で観るとマナーが悪いんですよ。

子どもを叱れない親が多く、叱るときも「ほら、先生が見ているでしょう」とか、「ほら、園長先生が来たから、もうやめなさい」とか、そういうふうに誰かが見ているからという形で言います。いけないことをはっきりと言えず、親がマナーを見せていない。

私は小学校の評議員をやっていて、小学校の参観日に行く機会があります。保護者の方が授業参観に行って、授業を見ないで廊下でしゃべっている声がすごいんですよね。子どもにあなたをしっかり見ていますよ、というサインを送っていない。子どもの授業を見に来ているのか、お話しに来ているのかわからない。そういうことが問題だなということを、学校の中でもお話したりします。

前川いろんな問題提起ですね。

正高これは冨田先生の持論になると思いますけれども、日本の戦後には道徳教育というものが根本的にないんですから。本当にないですよね。

前川修身というものがなくなってしまった。僕らのときはやったけどね。

正高戦後教育がスタートしたときに、戦前のものは悪いといって、十把一からげに軍国主義といって排除したがために、道徳教育というものが全くないがしろにされて、道徳の時間というのは一応ありますけど、何をやっているのかようわからんという中で、エシックス(倫理)とかモラルを教育するということが根本的にないんですね。だから、それこそ保育園のときはかわいい子どもが、小学校に入って以降、なぜこれをしてはいけないかということを結局教えていないんですね。

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