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座談会「子どもの心を育てる」

最後に一言

前川では、最後に一言ずつ、我々に希望を与えるような発言をしてください。

冨田不可能でいいのであれば、やはり、日本の伝統的子育てを見直すということではないでしょうか。それは身体性を見直すということにもなります。日本は非常に子どもをかわいがる文化ですから、「かわいがる」ということと同時に、「しつけをする」ということを忘れない。豊かな時代はこれがないがしろになるのは、ここまで言ってきたことです。

前川もとへ帰るわけですね。

冨田そうですね。

前川やるべきことをやるということが一番。

正高僕は先生と逆で、多文化共生に意識的に行かざるを得ないと思うんです。結局、日本のよさというのを見るためには多文化を見ないといけないわけです。今、労働市場に関しては日本はずっと鎖国しているわけですね。でも、こんなもの続けてられないわけでしょう。だって、どっちみち子どもは減っていく、労働力人口は減るわけで、今の日本のGNPを維持しようと思ったら絶対労働力は要るわけで、現になし崩し的にやっているわけですよ。

例えば看護師さんでもそうですけど、インドネシアから連れてくる。ところが、それは日本語ができへんから国家試験が通らんとか、もっとちゃんと初めから開国して、アジアのいろんな所の人にいっぱい来てもらって、その代わり、ちゃんとそういう人たちが暮らせるようなインフラをつくってやらないかんと思うんです。そうしたら、「あんなふうな子どももおるんや」と。今も、ブラジルとかフィリピンとか、そういうところも一部にはあるんですけど、そういう人たちをいっぱい見せる中で、日本というものも改めて考えていくというふうにするしかないんじゃないですかね。

冨田僕は、正高先生の意見はいつも賛成のほうですけど、そこは反対ですね。

正高多分そうじゃないかと思いました(笑)。

冨田国は大陸国、半島国、島国の三つの形態がありますが、島国は海という天然の強固な城壁が守ってくれるので、国民は国意識を持たなくても、安全が確保されてきました。だから、島国の日本人は「自分の国・母国」という意識が極めて乏しい。つまり民族としてのアイデンティティがないのです。この日本に外国から多くの人々が入ってきたら、日本は日本で無くなってくる恐れは大きいと思います。もう一度日本人というのをはっきり認識させて……これ、時間かかると思うんです。その後だったら外国人が入っても、まだいいかもわかりません。しかし、この場合も、ドイツにトルコからの移住者が多くなったために出現した問題や、フランスに居るアルジェリアなどの旧植民地の人々の問題を冷静に研究した後にして欲しいと思います。直ぐに「人道的」といった美辞麗句で、厳しい問題を避けたらダメです。日本人は島国のためだけでなく、戦後67年たちますが、種々の状況の重なりで、国に対する自尊感情が極めて乏しい国民になっています。ですから自尊感情を芽生えさせた後で、外国人の移住問題を論じなければならないと思います。

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