前川山口先生、どうぞ。今のことに関連してでも、何でもいいです。
山口私も、冨田先生の考えに非常に近いものを持っています。例えば明治初期、海外から日本視察に来た人たちが、日本の子どもというのは何て幸せそうなのかと驚いたわけです。いつもにこにこ穏やかでほとんど泣くこともないし、ちょっと泣いている子がいると、みんなが寄ってたかって、どうした、どうしたと世話をしてくれる、そういう育児が続いてきたと思うんですね。そういういい伝統が失われてきてしまっているので、原点にできるだけ帰るというか、ITとかの影響も考えながら、原点は原点として守らなければならないところはしっかりと見直していくことが、親子関係だったり、道徳教育だったり、そういうことの根本になるかと思います。
前川水岡先生、どうですか。
水岡何か否定的なお話ばかりをしてしまいましたが、保育の中で子どもたちと触れ合う時、子どもの笑顔を見ることが一番の幸せです。私は何の取り柄もないのですが、子どもたちとの触れ合いの中で、大好きだというメッセージを送り続けることを大切にしています。そして、タッチケアの取り組みについてお話するのが最後になりましたが、毎日、お昼寝の前のわずかな時間にですが、タッチケアを取り入れています。子どもたちは、タオルを広げると、その周りに集まってきて、自分の番を待ちます。タッチケアが大好きなのです。保育士がその子の好きな部位をわらべうたや童謡に合わせてタッチケアを行います。順番を待っている子が、待ち切れずにお人形にタッチケアをしている姿もありました。
お母さんもタッチケアサロンの後で、「家でやってみると、子どもがとてもいい顔をしていた」「自分もゆったりとした気持ちになれた」などの声が聞かれました。継続していく中で、タッチケアをされていた上の子が、妹にしてあげる姿もありました。やさしさが、芽生えたのかなと感じました。親子の触れ合いが希薄になっている今、「タッチケア」を通して肌と肌の触れ合いから育まれる信頼関係・安心感・愛情を親子で感じることができるよう、サポートしていきたいと思っています。親子の触れ合い、人と人との触れ合いが、子どもの心を育てる第一歩かなと思います。